【コラム】 レピドライト(リチア雲母)

2023年4月5日

【 雲母(マイカ) 】
雲母は、世界中でたくさん産出するので、ミネラルショーなどで見かけたことが一度や二度あるかもしれませんね。
めちゃくちゃ惹かれる方、全然スルーの方、双方意見が分かれることが多く、ミネラルショーの時期や年代によっても、全然売れる時と売れない時があって、なかなか気難しい石でもあります。
今日は、マイカの中でもレピドライト(リチア雲母)についてお話をしたいと思います。 トルマリンの鉱床で採れるのですが、こんなに美しいのに昔は廃棄物だったそうです。(鉱物あるある)
レピドライトは、リチウムを含みピンク、パープルになる雲母です。
・パープル〜ピンクのマイカが「レピドライト」(リチア雲母)
・イエローゴールドのマイカが「モスコバイト」(白雲母に分類されますが、リチウムを含有しているためイエローレピドライトとも呼ぶ場合があります。)

になりますが、
その他にも雲母には非常にたくさんの種類があります。
(※ビーズ業界では赤いアベンチュリンのようなものをモスコバイトとして流通名にしていますが、元々は和名「白雲母」を指すものがモスコバイトになります。)
雲母は、非常に薄いフィルムのような層が折り重なるように形成するミルフィーユ状の鉱物で、美しい板状六角形に形成されたり、双晶になるとスターマイカとなります。雲母はその層が非常に剥離しやすいため、剥がしたところの層がめくれたりもします。それゆえ昔は「千枚剥がし」という名前がついていたそうです。
そしてその層は細かくなるとグリッターのようなキラキラとした粉のようなものになります。 この石を触った後は必ずと言っていいほど、そのキラキラが落ちています。
いわば、煌めきを残していく石、、ですね。

【 きらら 】
実はこのキラキラこそが雲母の名前「きらら」の由来でもあります。 「雲母」と書いて「きらら」と読みますが、それが日本におけるマイカの鉱物名です。 「きら」というと日本の名士である吉良氏が有名ですが、吉良氏の支配した吉良荘(愛知県幡豆郡吉良町)は雲母が採れる地域だったことが語源となったそうです。『続日本紀』や『和漢三才図会』などにも記載されるほど、良質な雲母が産出し続けていたのですが、昭和に入りひとつ残して全て閉鉱されたのだそうです。
日本画は鉱物が顔料として使用されていますが、もちろん雲母も使用されており、浮世絵における「雲母摺(きらずり)」という技法があり、雲母の粉を糊やニワカにつけて背景を塗りつぶしていくもので、写楽、北斎、歌麿などが用いて一世風靡しました。
コスメティック業界では、雲母の粉を使い、光沢、パール感、ラメ感を出す基材として使われ、アレルギーフリーでお肌への負担が少ない素材と言われているため、雲母は非常に重要な役割を担っています。

【 様々な用途】
エレクトロニクス産業の方では、「雲母板」と言われ、電気の絶縁体(電気を通さない)として使われています。この電気的特性と耐熱性により、電子レンジなどにはなくてはならないものです。
電磁波シールド材料としても非常に優れています。
クリスタルの本にもコンピューター(言い方が古い)が放電する電磁波を吸収させるため、コンピューターの上に置くべき石として紹介されていました。
雲母は中医学の祖とも言える『神農本草経』にも生薬として、炎症、更年期、長寿の薬として記載されているのだそうです。
正倉院にも、「赤石脂」という名前で止血剤として伝わりました。
実は、精神安定、抗うつ剤として炭酸リチウムが使用されているのですが、そのリチウムの原料がレピドライトであることが多いようです。(今は合成かもしれませんが)

【 メタフィジカルな意味 】
アストラルトラベルやシャーマニックトラベルといった霊的な旅の際、宇宙意識をもたらしたり、アカシックレコードと繋がり、情報をもたらすものとして使われるそうです。
先ほどの薬のところにも出てきましたが、気分の波をおさえる部分においてはとても優秀なクリスタルで、ニュートラルで平静な心でマインドフルな状態へと誘い、現生での閉塞感の元となった過去生などからの思考、感情、トラウマを解放します。そこが自分自身の中で統合、一致しない場合、頭脳が優位になってしまった場合、精神的な病となって現れる場合がありますが、このクリスタルはまさに良いレメディとなることでしょう。
またAddiction(依存)などからの断ち切りという点で、古い行動パターン、心理パターンから脱却し、自己の内側から変化をもたらして新しいパターンを構築していけるように手助けをします。

【 心の皮むき】
レピドライトは層状に剥離していく石ですが、精神的な面においてもこのように、玉ねぎの皮剥きのような役割を担うのだそうです。
このミルフィーユ状の層は、過去からの積み重ねてきた努力などの良い面を見るのと同時に、昔からどうしてもやってしまうパターンなども表します。
傷を隠すために、自分を守るためについついやってしまうパターンや反応は層状のように折り重なり、ついには根源が何であったか見えなくなって、または麻痺してしまってもう気づかないこともあるかもしれません。
例えば、自分を守るための嘘や、何かへの執着や依存、拒食や過食や、強迫性障害(潔癖またはホーディングなど)などなど、、、

【Shine blight like a mica】
シャイで内向的な人は日本人に多いと思いますが、自分の内側に実は表現したい情熱や感情の核を持っているのにそれを表に出すことが難しいのです。 問題の水面下にあるものに触れ、気づかないことには深い癒しは起こり得ないと言われていますが、それらを少しずつ剥がして、問題の根っこに戻り、そこを癒していくような。 その根は親との関係性の中で出来上がったものがほとんど(アダルトチルドレン)だと言われていますが、まれに過去生から持ち越したものも。 剥離していくレピドライトのように、一枚また一枚と自分の殻を破り剥がしていく。
玉ねぎの皮剥きのように一枚一枚めくりながら、徐々に真理へと到達するような、そんなクリスタルだと思います。
レピドライトの石言葉は「変革」「希望」「精神安定」「癒し」です。
こう読み解くと、石言葉もすごくしっくり来るのだなと思いました。 少しずつ、少しずつ、ゆっくりと自分の中の要らないものを剥がして、心に軽さを取り戻せら、きっと誰もが生きやすいのではないでしょうか。 そして、それらを剥がした後に残るキラキラとしたフレークは、あなたの生きてきた証であり、あなたを輝かせる煌めきとなることでしょう。